Mirai Matusda x Yuki Fujiwara

rihkaでは、3月17日(月)よりオンラインストアで和菓子デザイナーの藤原夕貴さんとコラボレーションした限定ネイルポリッシュコレクション「spring light」を発売します。

今回は、本コラボレーションをお引き受けくださった藤原夕貴さん(以下、藤原)とrihkaディレクター松田未来(以下、松田)の対談インタビューをお届けします。

藤原 夕貴氏 Profile

和菓子デザイナー / グラフィックデザイナー

出版社勤務を経て、ロンドンへデザイン留学。帰国後、グラフィックデザイナーとして広告・ブランディング業界で働く一方、茶道を教える祖母の影響で幼い頃から身近にあった「和菓子」に着目し 、デザイナーの視点から独自の感性で和菓子を制作。既存の枠にとらわれない和菓子のあり方を探求、作品を発表している。

Instagram:@wagashi_art

松田未来 Profile

ヘアメイクアップアーティスト

ライフスタイル系メディアを中心に、雑誌・広告やファッションカタログなどのヘアメイクを手掛ける。プライベートでは、愛猫・マドレーヌ(オス・12才)と同居しており、デビューネイルカラーのネーミングにもなっている。

Instagram:@mira0911 



ー 今回、藤原さんにお声がけさせていただいた背景を教えてください。

松田和菓子が大好きで年中美味しくいただいているのですが、春が来るたびに、春の和菓子の要素をネイルに取り入れられたらどんなに素敵だろう。と思いを馳せていました。

今年こそはと考えたときに、以前からInstagramを通じて美しい和菓子の写真を投稿されていた藤原さんへお声がけしたいなと思い、ご連絡させていただいたのがきっかけです。


藤原rihkaのInstagramやWebサイトを拝見したとき、rihkaの持っている世界観が和菓子に通ずる点があるように感じました。一言でネイルポリッシュと言っても様々あり、主役のように主張の強いものもあると思うんです。しかし、rihkaのネイルには、柔らかく包み込むような空気感と、日常の中に溶け込む自然な心地よさを感じました。その主張しすぎない、それでいて静かに心を惹きつける魅力が、なんだか和菓子に似ている気がして。


松田スペシャルな瞬間にrihkaを使っていただけることも、もちろん凄く嬉しいと思っていますが、何気ない日常に溶け込めるのって嬉しいですよね。例えば、忙しくPCで作業している時に、目線の先にあるネイルを通して、ふっと気分が上がるようなお手伝いができればいいな、と。和菓子も、日常にほっとする瞬間を生み出してくれますよね。


藤原そうですね。あと、rihkaと和菓子が似ていると思ったもう1つのポイントが、言葉のチョイスです。コンセプトや選ぶネーミングが一つひとつ全部素敵で。和菓子も「菓銘」といって、その和菓子ごとにテーマをひとことで言い表した名前をつけるのですが、ビジュアルと名前がセットになってはじめて、和菓子として完成します。rihkaのネイルポリッシュも、色味とともにコンセプトとネーミングがセットになってその言葉に象徴されるような世界観が広がっていく所に、通ずる点があると感じました。


ー 今回の和菓子の選定ポイントをそれぞれ教えて下さい。

藤原sakura(桜)は、日本人が思い描く春の姿です。それをストレートにモチーフとして選びました。色味を拝見したとき、質感が少しマットな印象を受けたので、和菓子の中でもしっとりとしたテクスチャーの練り切りを選びました。sakuraのネイルポリッシュは、指に乗せたときに肌なじみが良くて、春のピンクの中でも少し儚げな切ない印象を感じさせるんですよね。でも、芯もあるような。そんな、儚さの中にある強さのようなものが、rihkaの中にある女性像にも通ずる点があるように感じながら作ったのが、桜の練り切りです。

uguisu(うぐいす)は、ツヤ感のあるテクスチャーが印象的だったので、寒天を使った透明感のある錦玉羹をセレクトしました。モチーフは、(ネイルポリッシュの名前通り)うぐいすも良いかと思ったのですが、季節を少し先取りする和菓子の世界では、2月あたりから使われ出すモチーフだったので、今回は萌え出ずる若葉をイメージして作り上げました。この錦玉羹は、色味自体はクールな濃いグリーンですが、よく見ると葉の形の切り抜きが隠れています。雰囲気自体はクールな印象を踏襲しながら、可愛い遊び心も隠れている。まさに、このネイルポリッシュの色味らしい雰囲気を表現してみました。

shunko(春光)は、ネイルポリッシュのグリッターの光が印象的だったので、春の陽気をそのまま閉じ込めたような和菓子ができないかと考え、やわらかい光を宿した琥珀糖にしました。宝石のような光を受けてきらめく形状で、すりガラスのような質感に金粉を散らすことで、光の当たり方で様々な見え方ができるように仕上げています。味わいは、白ワインをベースにしながらゆずの香りがふわっと広がり、春の透き通る光のような清々しくさわやかな味にしました。

松田実はuguisuは、ネイルポリッシュの試作段階では青み寄りの緑と、よりブラウン寄りの緑と、2軸で検討していました。どちらも素敵でしたが、爪に乗せたときに日常に溶け込みやすい方として、後者を選んだのが完成した色味です。ネイルポリッシュの色味に合わせ、和菓子の色味も調整してくださったときに、とても感動しました。


藤原グリーン系のネイルポリッシュを作ると聞いたとき、実は最初「自分は身にまとえないかもしれない」と思ったんですよね。私は普段ベーシックな色味を選ぶことが多いですから。でも、サンプルを拝見し爪に乗せたときに、良い意味で期待を裏切られ「あ、これも緑なんだ」って感激して。これならシックで大人っぽいスタイルにも合わせやすそう、と思いました。その色味に和菓子の色味も合わせたくて、緑茶で色を出して、お茶本来がもつ色味に近づけて作らせていただきました。まさに、色そのものからrihkaの女性像が現れていると感じ、rihkaだからこそできる緑だと感じましたね。


松田rihkaのネイルポリッシュの色味は、ハードルの高すぎるものではなく、日常に寄り添いながら、半歩挑戦できるような特別感を生み出せたらと考えながら作っています。クールな印象とやさしい印象って、ほんの1%の色味の違いで生まれるんですよね。なかなか言語化は難しいですが、その違いは余韻として人の心に残ると思っていて。その余韻がどういうものかを考えるようにしています。


ー 藤原さんは、本業はグラフィックアートのお仕事をなさってるんですよね。

藤原そうなんです。今は、グラフィックデザイナーとしてブランディングの会社に勤めています。和菓子の世界に入ったきっかけは、実は以前働いていた会社の社長の思いつきがスタートなんです。当時その社長が「新卒は、自分の制作した作品をまとめたポートフォリオから自分らしさがにじみ出ているのに、中途になると、途端にそれがなくなる。自分の好きを強みにしたら、もっと皆自分らしいデザインができるのでは。」という発案から、クライアントワークと並行して自分の「好き」を追求するプロジェクトが始まったんです。

私は大学まで京都で育ち、祖母がお茶の先生だったこともあり、幼少期からお茶を点てて和菓子を食べるような習慣があったんです。自分の好きを探す中で過去に立ち戻ったときに、それが日常にあったことは、自分の独自性になるかもと感じました。

今のデザインスキルとその経験を掛け合わせたときに、何か新しい表現ができるのではないかと思い、見よう見まねで作り始めたのが、和菓子作りのきっかけです。


松田グラフィックデザインが和菓子に活きたり、あるいはその逆のこともあるのでしょうか?


藤原グラフィックデザインで言うと、例えばロゴは小さなスペースの中に、その企業やブランドが伝えたいことを凝縮して表現するんですよね。和菓子も似ていると思っていて、手のひら大の世界でテーマを表現し、伝えていくものだと思っていて。立体と平面で違いはありますが、思考のプロセスは似ている点があると感じています。

どちらも、コンセプトがあり左脳で考えることがある一方で、パッと見た瞬間に自分の心がドキドキするのか、という右脳的な部分も大切だと思っています。

その気持ちを大切にするために、実はネイルも参考にすることもあるんですよ。和菓子の世界だけを見ていると煮詰まってしまいやすいですが、違う分野の、例えばアクセサリーやネイル、アートなど様々な分野の作品に触れて心が惹かれたものをストックしたりしていて。異なる質感の掛け合わせや色の組み合わせを自分の引き出しにしまっておいて、和菓子の表現に活かすこともあります。


松田生活の中からいいなと思うものをストックしてアウトプットしていく点は、なんだか似ているな、と感じます。花束の組み合わせや自然物のグラデーションなどからインスピレーションを受けたり。普段見るものの中から、爽やかさや落ち着いたムードが見えるなら、今度はこういう提案をしてみようかな、と考えたりしています。この色が爪に乗ったら、どんなに美しいだろう、と。


ー 最後に、お二人からのメッセージをお願いします。

藤原和菓子は、四季の情景を映して季節を愛でるものです。今回ネイルポリッシュとコラボレーションさせていただくにあたり、指先に宿る色を通しても、うつろいゆく季節を感じてもらえたら素敵だなと思って。

春の空気感は、人を幸せにしてくれるエネルギーに満ちていると思います。そのパワーを、春そのものを身にまとうことができるのは、ちょっと気持ちが上がる特別な瞬間だと思います。

まだ肌寒い冬の空気が残っている時期ではありますが、一足早い春の高揚感を皆様にもお裾分けできたら嬉しいです。


松田寒い時期がようやく明けて、暖かな季節に向かう希望を感じる季節が、自分の爪にいる。それって、とても心強いことなんじゃないかと感じています。そんなポジティブなパワーが自分の味方だと思うと、少し背中を押してもらっているような気分になると思うんです。春の要素を詰め込んだ和菓子の色は、心強い新年度の始まりの味方になると信じています。ネイルポリッシュを通じて、皆様を応援しています。

 

編集:坂井華子


本コレクションは、3月17日(月)よりオンラインストアで発売します。詳細は、下記からご覧ください。

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